ラルフ・ナットケンパーは、近代ドイツのピアニズムを伝えるドイツ人ピアニストとしてヨーロッパ各地で高く評価されている。

西ドイツ・ヴェストファーレン州メンヒェングラートバッハに生まれる。5歳よりクラウディオ・アラウの弟子のもとでピアノを学び、その後マルティン・シュタイン、イアラ・ベルネット、ファウスト・ザードラ、ヴィルヘルム・ケンプの各氏に師事。またタチアナ・ニコライエワの下でも研鑽を積む。こうした経験から、 彼は北アメリカのヴィルトゥオーソと伝統的なドイツのピアニズムの双方を習得した。

国家奨学生としてハンブルグ音楽演劇大学で学ぶ。 Masefieldアワード受賞。ヨーロッパを中心に、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、スペイン、イタリア、ブルガリア、オーストリア、スイス、 ヴェネズエラ、日本等、世界各国でリサイタルを開催。また、ハンブルグ、ヴェネツィア、ヴェローナ、ローザンヌ、アッシジ、カラカス、ヴァロニー等の音楽祭に客演。ローザンヌ室内管弦楽団、ハンブルグ交響楽団、ブルガリア放送交響楽団、ルーマニア国立放送交響楽団、外山雄三指揮オーケストラ・アカデミカ等と協奏曲を演奏する。リサイタルやコンサートの模様は、テレビ、ラジオ放送でもヨーロッパ各地に広く紹介されている。ブラームス生誕の地ハンブルグで行われた没後100周年記念式典では、ピアニストとして唯一招かれブラームスのピアノ協奏曲第1番を演奏している。ソリストとしては、バロックからメシアンまで幅広いレパートリーをもち、特にドイツ古典派からロマン派を得意とし、シューベルトのピアノ作品の演奏においては各国で高い評価を得ている。また室内楽の活動にも積極的でマーク・ルボツキー、レオニード・ペザホフ、深井碩章氏らと共演している。ベートーヴェン、シューベルト、シューマン等のCDをリリース。